マチヤ・レポート追記2~湿式工法から乾式工法のまちなみへの置換~

高槻町家2015

2023年11月19日 17:07


上の写真は大阪府内某所のまちなみ変遷


今どきの住宅の壁面構成 オレンジ色の部分が外壁仕上(外装材) 躯体の外に張り付ける

マニアックな話が続いています。
ふたつ前の記事の補足説明です。

昔から日本では古くなった家屋は適当なスパンで改修したり、あるいは建て替えたりしてきました。
まぁ、それが当たり前だったと思います。
だから古い町家をこわして新しい家に建て替えることは、「悪」だとは思っていません。
それが住まい手にとっては、昔から続いてきたごく自然なことと思えるからです。

ではなぜこうもまちなみは変わったのか。

昭和戦後のある時期までは、家を建て替えても江戸時代とさほど変わらない工法と材料でしたから、
建て替え後も、あまり建物外観に変化がなかったはずです。
しかし、ある時期から工法と材料が変化します。
つまり、工業製品である外装材を躯体の外側に張り付けるような工法が増えていった。
そうなると建物の外観も大きく変わりますし、当然、まちなみも変化します。

昔ながらの土壁、漆喰、モルタルなどで壁をつくり仕上げる場合、水を使ってこねます。
湿っているので「湿式工法」と言います。
これに対して、
最近主流の工業製品(工場で加工される鋼材、窯業系材、樹脂系材など)の版(板)状の外装材(ボード、サイディングなど)を
現場で金物などによって取り付ける場合、水気がないため、「乾式工法」と言います。
家を建て替えたり改修したりし続けているのは、
昔も今もあまり変わらないはずですが、工法と材料が変わったということです。
工事現場で左官屋さんがコテて壁などを仕上げている姿をあまり見かけなくなったのはこのせいです。
(玄関アプローチとか駐車スペースの床のコンクリート舗装の仕上くらいですかね。
 コテ使ってるのよく見るのって。たまにほんまもんの左官仕事見るとテンション上がります)

これが、ふたつ前の記事にある、
湿式工法のまちなみから乾式工法のまちなみへの置換(更新)がすすんでいる
ということです。

なお、今の工法でも、ボートの上にモルタルを塗ってコテ押えしたりすることは、よくあります。

長い文オンパレードおそれいります。
これで今回のマチヤ・レポート2023、一応ペンを置きます。(とは今は言いませんよね)

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